厚生労働省が令和元年11月25日に広報発表した人生会議のポスターで吉本興業の芸人 小藪千豊さんをモデルにしたものが炎上して、わずか1日で消えてしまいました。
そもそもこの「人生会議」って初めて聞いた人が多いと思います。厚生労働省が目指した「人生会議」の意味と趣旨は何だったのか、どうして吉本芸人の小藪さんだったのか簡単にまとめてみました。
ちなみに人生会議の趣旨は「もしもの時に自分が望む医療やケアについて前もって考え、家族等や医療・ケアチームと繰り返し話し合っておきましょう」ということです。
人生会議のポスターが小藪さんだった理由
平成30年11月に実施されたAPC(アドバンス・ケア・プラン)の愛称選定委員に小藪さんが入っていたからです。
また小藪さんは数年前にお母さまを亡くした時にこれでよかったのかという考えから「プリン」という曲を作ったことからもポスターモデルとして選定された理由です。
そしてこのポスターの作成を担当したのが吉本興業。そりゃこれだけ条件がそろえば小藪さんで決まりですよね。
人生会議のポスター全文について
まてまてまて俺の人生ここで終わり?
大事なこと何にも伝えてなかったわ
それとおとん、俺が意識ないと思って
隣のベッドの人にずっと喋りかけてたけど
全然笑ってないやん。
声は聞こえてるねん。
はっず!
病院でおとんのすべった話聞くなら
家で嫁と子どもとゆっくりしときたかったわ
ほんまええ加減にしいや
あーあ、もっと早く言うといたら良かった!
こうなる前に、みんな
「人生会議」しとこ
「人生会議」という愛称は誰が決めたの?
この愛称選定委員会構成員は次の通りです。
- 内田 勝康氏(元NHKアナウンサ、国立成育医療研究センターもみじの家ハウスマネージャ)
- 小藪 千豊氏(タレント)
- 小山 薫堂氏(放送作家)
- 新浪 剛史氏(サントリーHD社長)
- 鈴木 美穂氏・樋口 範雄氏・紅谷 浩之氏・松原 謙二氏(NPOやケアクリニック、医師会の方々)
でした。この選定委員はあくまで「人生会議」という愛称を選定した方々です。ちなみに「人生会議」はという愛称は聖隷浜松病院の看護師の方が応募した愛称です。
どうして11月25日にポスターを発表したの?
11月30日を語呂合わせから「いい看取り・看取られ」の日として「人生会議の日」とし、人生の最終段階における医療・ケアを考える日としています。なので11月30日の前にポスターを発表したのではないでしょうか。
人生会議のポスターはなぜ小藪?ポスターの功罪について
小藪さんの表情やシーンが怖すぎて、リアルさが=死に際と伝わってしまった事も批判の的になってしまいました。
批判の声を上げた方は「不謹慎だ!」「人生の終末を笑いものにするんじゃない」「現在闘病している患者や家族やケアをしている人にとって、お笑い芸人を使って悪ふざけしたポスターは許せない」「不愉快極まりない」という事に尽きるようです。
実際の終末期(死の直前)に小藪さんのセリフのようなことを思えるはずなんてない、という現実的な意見も多くあります。
まぁ実際そうですよね。
でもこのポスター、今すぐ終末期を迎えたりケアする人向けではなく、健常者の人に気づいてほしいという趣旨も多分にあると思います。
そういう一般大衆に向けてのポスターとしてはインパクトもありますし、有名お笑い芸人の小藪さんポスターという事から目も引きます。
人生の終末をどう迎えるかということについて家族等と話し合っている人は3%前後というデータもあります。そしてケアする側でも天に召された大切な人へのケアが本当にこれでよかったのかを思い悩む人もいるでしょう。
そういうことを思い悩まないためにも「人生会議を」という趣旨だとすればインパクトのあるポスターを厚生労働省が作ることは悪いことだとは思えません。
ただポスターの表現の程度は当然ありますけれど。
人生会議のポスターはなぜ小藪?まとめ
このポスターは1日でお蔵入りとなりましたが、炎上商法のように多くの人に知られることになりました。
私も今回の騒動が無ければ終末期を迎えるときの家族や自分の希望を考えるということはなかったかもしれません。
誰しもが迎える人生の終末期。そのときについて家族や周囲の人と気軽に話し合うことを今度実家に帰ったときは両親と、女房や子供たちとは気軽な会話の中でしていこうと思った私でした。
でも「人生会議」はどういうポスターならよかったのでしょうか?
誰からも批判を受けないポスターはお役所がよく作るきれいな女性がにっこりと「火の用心」とか「防災週間」とかだけ書かれたポスターでしょう。
そんなメッセージは伝わらない啓発ポスターばかりだったら誰も見ないよなぁ…このポスター作製費4,070万円もかかったそうだなぁ…もったいない!
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